「職業訓練」と検索するとよく「Webデザイナー やめとけ」という検索候補を目にします。
先日、6ヶ月間のWebデザイナー職業訓練を実際に終えた私ですが、卒業式の日には「この訓練に通えて本当に良かった!」という感想しかありませんでした。
ところが、あれから約3ヵ月経ってみて、その感想に大きな変化が・・・。
この記事では、職業訓練校「Webデザイナー科」卒業生の私が、実体験とともに「なぜやめとけと言われるか」について分かったことと、正直な感想を述べたいと思います。
やめとけと言われる理由
半年間の職業訓練に通い、無事に卒業したあと就職活動を終えた私が感じた答えはこの2つ。
- 授業が難しい。
- Webデザイナーになれない。
数ヶ月前(2024年12月)の私の実体験をもとに詳しくご紹介していますので、「Webデザインに興味のある方」、「どの職業訓練に行くか悩んでいる方」、「Webデザイナーの職業訓練の面接に行かれる方」、「Webデザイナー科への入校が決まった方」など、こういった方々の参考になればと思います。
1. 授業が難しい。
この記事でもお話ししていますが、完全初心者の人間にとって、「デザイン」さらに「Web」に関する知識の習得はとても難しいと言えます。
いったい何が難しいのか?
この次の章で授業内容は詳しく触れますが、大まかに分けるとWebデザイナー科の授業には、「パソコンの基礎・応用知識」「コードを書く」「デザインをする」「サイトを制作する」このような内容のものがあります。
その中で、「HTML」「CSS」「JavaScript」「PHP」といった、英語でひたすらコードを書いていく授業が大変だと感じました。先生の話を聞いていないとついていけなくなるのはもちろん、居残りをして勉強する生徒がいるほど、これらは私たちのクラスでもかなり好き嫌い・得意不得意の別れる内容でした。
綴りを1つ間違えただけで画面が真っ白になったり、何も反映されなかったりするので、そもそもパソコンが苦手という人や、英語ができないという人にとっては難易度が高いと思います。

プロの先生ですらたまに「アレ?どこが違う?」と間違えてたりしていました。笑
自分の書いたコードのミスを探すのが特に大変な印象です。
軽い気持ちであまりWebデザインに興味のない状態で入ってしまうと、つまらない・授業についていけない・行きたくない、という負のループに陥り、憂鬱になる方も少数いるはず。
こんな感じで、途中で挫折して退校される方も数人いたというのが実情です。
簡単な授業もある
「Photoshop」や「Illustrator」などを使った「デザインをする授業」は、独学でも比較的すぐに習得可能であり、簡単かつ楽しい授業になります。ただ、簡単なので授業のコマ数は少ないです。
2. Webデザイナーになれない。
実際のところ、これが一番の理由だと思います。

え?Webデザイナーになるための職業訓練じゃないの?
と思いますよね・・・
まずは、現実を知ってもらうために実情をお伝えしましょう。
私たち「Webデザイナー科」のクラス全生徒25名のうち、卒業後3ヵ月の時点でデザイナーになった人は・・・
・・・
0人
求人数や転職活動のタイミングもあると思いますが、なかなかにひどい結果です…。
※ちなみに私たちの学校があるエリアは、関東からは遠く離れた人口60万人レベルの都市になります。都会に比べて地方には「デザイナー」の求人数がかなり少なく、より難易度が高かったのかもしれません。
この記事では「デザイナー職」=「まともな・ちゃんとした企業の毎日デザインに携わっている正社員のデザイナー」と定義します。そのため、「デザイナーになるための研修を受けられる企業」での就職や、「雑用ばかりしている名だけのデザイナー」は「デザイナー」に含みません。
職業訓練校卒業後の就職先は?
では、いったい卒業後にみんなどんな仕事に就いているのか?
気になる方も多いと思いますので、訓練校の先生や仲間にコンタクトを取り、調査してみました!全員の結果を詳細なところまで聞けた訳ではないので、おおよその数字にはなりますが、ざっくりこんな感じ。
- 前職と同種の職業 85%
- 事務・受付 10%
- 無職 5%
- デザイナー 0%
圧倒的に多かったのが、「前職と同じ職種」ということです。転職は「これまでの経験」を見られるため、この結果は当たり前と言えば当たり前なのですが、異業種からデザイナーになることは想像以上に厳しい、ということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
そう、職業訓練を卒業できたからと言って、必ずWebデザイナーになれる訳ではないのです。
それは、なぜなのか?
では、いったい何のための時間なのか?
あくまで私の実体験にはなりますが、これらの疑問について詳しく説明していきたいと思います。
職業訓練で習うことは、基本の「キ」の一角目くらい。
大前提として、仮にプロのデザイナーの知識レベルが「100」だとした場合、Webデザイナーの職業訓練で教えてもらえる内容は、「5~15」レベルのことです。

それなのに授業が難しいとは・・・
デザイナーってすごいんだな。
実際に習った私のクラスの授業内容は下記になります。学校や先生によって多少異なるかもしれませんが、大筋は全国どこも似たようなものだと思います。
- タイピング練習
- Word・Excel 基礎〜応用まで
- Illustrator・Photoshopの使い方
- コーディングによるサイト制作
(HTML・CSS・JavaScript・PHP) - WordPress
- 各検定対策
デザイナーになるための就職活動を終えた今、私が感じているのは、「職業訓練はとりあえず浅く広く知っておこうという内容だったな」という感想です。例えるなら、デザイナーの入り口になりうるドアをいろいろノックして、自分が中に入れそうかを探る感じ。
そんな私から、これから入学を考えている方に知っておいてほしいことがあります。
「Webデザイナー職業訓練卒業」
=「Webデザイナーになれる」
ということではなく、
「Webデザイナー職業訓練卒業」
=「Webデザイナーになるための
スタート地点に立たせてもらう」
その遠い先にゴールがあります。
つまり、
卒業してからが勝負なのです。

本当にちゃんとした企業のちゃんとしたデザイナーになりたいのであれば、学校を卒業後も自力で勉強と努力を継続する覚悟が必要です。
これから入学を考えている方・入学を控えている方は、こういう感覚でいた方が自分の未来をよりよい方向へ導くことができるはず。

私もこのことが入学前に分かっていれば、在校中にもっとできたことがあったのに、と今は思います。
ちなみに資格取得は99%意味ない。
こちらは余談ですが、Webデザイナーの職業訓練では、いくつか取得できる資格があります。訓練校にもよると思いますが、だいたいこのあたり。
- ウェブデザイン技能検定
- Webクリエイター能力認定試験
- Illustratorクリエイター能力認定試験
- Photoshopクリエイター能力認定試験
- CS試験
- MOS
正直なところ、卒業後、実際にデザイナーになるための就職活動をしてみて、これらの資格が必要と感じたことは一度もありません。
面接では、これまでの経験や実績、ポートフォリオについて詳しく深掘りされ、持っている資格については一度も触れられたことがないからです。
この記事では、さらっと触れるだけにしておきますが、実際にデザイナーになるための就職活動では、
何(例:テキストエディタ)を使って
何(例:目的に合った正しいコーディング)が
どこまで(例:テンプレを使わずにJSで動きを付ける)
一人でできるのか?
こういった「自身のスキルレベル」を自らの口で詳細に説明できることが最重要です。
そのためには、名目だけの「資格」なんかよりも、「実績」をつくることに集中した方が効率がいいと感じました。

残念ながら、職業訓練中にこの事実を教えてくれる先生はなかなかいません。
実際のところは分かりませんが、ここだけの話、検定の合否は、数字として職業訓練校の結果に残るため、学校では授業の中で「デザイン」のことよりも「検定対策」に重きを置いているような気がしました。
繰り返しになりますが、上記すべての資格に合格した友人ですら、結局デザイナーの道は諦め、現在は事務職をしているのが実情です。

デザイン関連の検定料って高いのにね・・・。
就職の壁①:「未経験」のハンデの大きさ
職業訓練校を無事卒業し、「さぁ!デザイナーになるぞ!」と意気込む仲間たち。ところが、実際にデザイナー(正社員)として就職を目指すにあたり、全員がぶち当たる壁が2つあります。
一つ目は、「実務経験」の壁です。
デザイナーという職種に応募する際、まともな求人には必須条件として「実務経験2、3年〜」が設定されていることがほとんど。ということは、職業訓練校を卒業した生徒が応募したところで、まずこの条件に当てはまらず、書類が通らないのです。
実際の求人を見てみよう!
こちらは、「デザイナー職(正社員)」で検索した際にヒットした求人の応募条件です。
※実際に求人サイトに掲載されている内容をスクショしています。




・・・

誰もが初めは未経験なはずなのに、こんなの無理ゲーじゃん。
首都圏などの求人数が多いエリアの場合だと、もう少しハードルの低いこのような求人もあるかもしれません。※私の住んでいる地方エリアでは全くありませんでした…。

また、たまに「それに準ずる能力」と希望の見える記載がある企業もありますが、これまでの就職活動の経験上、これには「フリーランスデザイナーとしてある程度の実績・収入がある」ことや、「アシスタントデザイナーとして1年働いていた」という方が当てはまるのだと感じています。
お察しのとおり、職業訓練校を卒業したばかりの卒業生に、実務経験はありません。(在籍中にクラウドソーシング等で収入を得る活動をしていれば話は別ですが、それでも数ヶ月程度の実績にしかならないはず。)
よって、この壁を乗り越えられる人がなかなかいないということが現実です。
とはいえ、次に説明するポートフォリオのクオリティ次第では内定をもらえる可能性はゼロではありません!

1年目
筆者はこの壁をポートフォリオで乗り越え、無事に就職しました!
「未経験OK」の求人はたくさんあるけど気をつけて!

未経験可の求人見つけたよ!
福利厚生や待遇、職場環境など全くこだわりのない方なら問題視しないかもしれませんが、「未経験でも積極採用!」なんて謳っている企業の求人は、少し怪しいと疑った方がいいと感じています。
世の中にごまんとプロのデザイナーがいる中、
実績も経験もない素人デザイナーに
給与を払って雇うメリットは何・・・?
また、「未経験大歓迎!」「手厚い研修あり!」「ゼロからスキルアップ」「業績好調につき大量募集!」と言った求人を出している企業の理由や、目的もよく考えてみましょう。
・スキルのある人が集まらないから(=ブラック)未経験者を募るしかない。
・デザイナー業務ではなく、雑用をさせるため。
このような可能性がありますので、企業の口コミをしっかりと確認してから判断することをオススメします・・・!(ごく稀に良い求人もあるかも)
「配属先による」「派遣先による」「プロジェクト先による」「フルリモート可」という言葉には要注意。

実際にこのような謳い文句に惹かれて就職した他のクラスの卒業生は、「全くデザインをさせてもらえる気配がなく半年で辞めた。」と話していました。
就職の壁②:ポートフォリオのクオリティ
2つ目の壁は、企業が認めてくれる「ポートフォリオ」の用意です。
デザイナーを目指しての就職活動を終えた今、私が学校で一番習いたかったことは、コレ。
デザイナーになるための就職活動に必ず必要な
「ポートフォリオの作り方」
「ポートフォリオ」とは簡単に言うと、就職活動での書類選考時に「履歴書」・「職務経歴書」に加えて提出が必須とされる「これまでの作品集」のことになります。
デザイナーやプログラマーなど、クリエイティブ職での就職活動には、必ずこの「ポートフォリオ」がないと面接まで進むことができません。
逆に「ポートフォリオ」の提出を不要としているデザイナーの求人は怪しく、入社してもデザイナーの仕事はさせてもらえないと思っていた方がいいと思います。

その人のスキルを知らずに雇うということは、要は「誰でもいい」ってことだよね。
学校でフォローしてくれないの?
職業訓練校では、HTMLやCSS、JavaScript等の授業がありますので、「サイトの作り方」や「ポートフォリオに載せる内容・作品数」といったベースの部分は教えてもらえると思います。
しかし、肝心の「どんなポートフォリオだったら、採用してもらえるのか?」というところまで、具体的に落とし込んで教えてくれたり、全員のポートフォリオを採用されるレベルまで添削してくれたりと、自分からお願いしなければそこまでのサポートはしてくれないことがほとんどです。※担当の先生によりますが…。
デザイナーの就職活動で一番重視される(通過の可否を判断される)のは、この「ポートフォリオ」なので、私たちのクラスでは「なんで職業訓練中にもっと時間取ってくれなかったの・・・(検定より大事じゃん。)」と正直不満が残るくらい。

生徒をデザイナーとして就職させることが目的の訓練なのであれば、私が先生なら少なくとも3ヶ月はみっちりポートフォリオ制作に充てるけどな。
よって、私たちの場合、学校卒業後にポートフォリオを作成し、書類が通過する最低限のレベルまで自力でクオリティを高めなければならなかったため、ここで諦めてしまった人が大半だったのが、あの就職率0%の結果につながっているのだと思います。
未経験がデザイナー(実務経験2年以上)の求人に内定!
ここまで私の実体験を元に感じたことを伝えてきましたが、そんな私は現在、地方の中小企業にて「Webデザイナー(条件:実務経験2年以上)」の正社員として無事に内定をいただき、職業訓練で学んだことをしっかりと活かしながら働くことができています。
未経験なのに「条件:実務経験2年以上」の求人で内定をもらった方法につきましては、また別の記事にて紹介させていただきたいと思います。
職業訓練校を卒業し、この内定をもらうまで、実に6ヶ月かかりました。
3ヶ月で結果はでなかったものの、この業界のことを勉強し、努力を継続していうちに、着実に自分が目指すべき場所へ近づくことができました。
答え
以上、私が就活を進めてみて分かったリアルな現実をお伝えしました。「Webデザイナー 職業訓練 やめとけ」と言われる理由が少し理解できたでしょうか?
卒業生である私の答えは、「独学で十分」とか「時間の無駄」とか、そういう理由ではなく、「職業訓練校を卒業してすぐにWebデザイナーになるのは簡単じゃない」ということだと思います。特に求人数が少ない地方で就職するとなると、より難易度は上がってしまいます。
とはいえ、「私は絶対にデザイナーになる!」という覚悟がある方はもちろん、「自分が向いているのか分からないから、とりあえずチャレンジしてみたい」という方でも、しっかりと自身の目的を持って入れば必ず得られるものはあると思います。

職業訓練は「無料」で知識を習得できる機会、かつ、むしろ私の場合は給付金で計150万円ほどプラスになりました。毎月お金をもらいながら通うことができるので、モチベーションも最後まで維持できるし、自分の得意不得意に気付くこともできる、また同じ目標をもった大切な仲間たちに出会うことも可能です。時間に余裕のある方であれば、個人的には職業訓練はメリットしかないように思えます。
また、「足を踏み入れたけど、やっぱりデザイナーには向いていなかった。」とその道を諦める選択をしたとしても、その過程での経験は必ず次に活かすことができるはずです。ぜひチャレンジする気持ちを持ってもらえたら幸いです。



